フリーランスとして働く方が増える中、「偽装フリーランス」という問題が深刻化しています。
これは、実態は会社員なのに形式上は業務委託契約を結んでいる状態を指します。
「偽装フリーランス」の一体何が問題なのか。
それは「労働者なのに労働者としての保護が受けられない」ということです。

「フリーランス」の名目のために労働基準法・社会保険・労災保険の適用外とされてしまいます。
最低賃金や残業代の保障がなく、年金・健康保険・雇用保険にも入れません。
業務中の事故や病気も補償されにくいです。
不当解雇からの保護が見えにくくなり、契約解除という形で簡単に仕事が打ち切られるリスクがあります。
そして、仕事が途切れたり、単価が安すぎたりする問題に直面しやすいです。
企業側も、偽装フリーランスが発覚すれば、法的な罰則や経済的負担、イメージ低下といったリスクを負います。

契約が業務委託でも、実態が「労働者」と判断されるかは、例えばこんなことです。

・仕事の曜日、時刻、時間などが決められている。
・タイムカードがあり、打刻を求められている。
・仕事をする場所が決められており、通勤のように居住地から移動している。
・「独占契約」と言われ、複数の顧客を持てず他の仕事が禁じられている

もし「私って偽装フリーランスかも?」と感じたら、一人で抱え込まず相談しましょう。

 

これまで不十分だったフリーランス保護ですが、近年動きが進んでいます。
特に注目は、2024年11月1日施行の「フリーランス保護新法」です。
この新法は、発注側に様々な義務を課し、フリーランスを守ります。

*取引条件の明示: 報酬額や支払期日などを明確に提示義務。

*報酬の期日内支払い: 納品から原則60日以内の支払いを義務化。

*7つの禁止行為: 買いたたき、不当な減額、ハラスメントなどが禁止されます。

また、トラブルに巻き込まれた際に頼りになる窓口が増えました。

・フリーランス・トラブル110番(無料): 弁護士が無料で相談に応じてくれます。匿名相談も可能。

・労働基準監督署の相談窓口(2024年10月新設): 働き方の実態から労働者性を判断してもらえます。

・下請かけこみ寺: 全国に設置された取引相談窓口。

 

フリーランスという働き方は魅力的ですが、リスクも伴います。
今回ご紹介した「偽装フリーランス」の問題や保護制度、相談窓口の情報を活用し、安心して活躍できる社会を目指しましょう。