「ワンマン社長」。
言葉は同じでも、その中身は時代によって大きく変わっています。
昔も今も共通しているのは、強いオーナーシップと「決断」です。
創業や事業拡大を自らの責任で進める姿勢や、成功・失敗体験を経た自信から「自分が正しい」と信じやすい点は、今も昔も変わりません。
その結果、組織が社長中心に管理され、ナンバー2が育ちにくい構造や、スピードとリスクが表裏一体になる点も共通しています。

昭和時代に象徴されるワンマン社長は「俺についてこい」型が評価され、怒鳴る指導や長時間拘束を社員に求めていました、
当時は終身雇用的な環境もあり、社員は逆らいにくかったのです。

現在の令和時代は事情が違います。
人材流動化が進み、独裁的な会社からは社員もお客様もすぐ離れます。
表向きは穏やかでも、情報と決定が社長に集中する「優しいワンマン」が増えています。
SNSやコンプラ時代では怒鳴る指導や長時間拘束は企業存続リスクに直結します。

今や絶滅すべきは、豪快に怒鳴る昭和型ワンマンです。
これから求められるのは、最終責任は社長が負いつつ、情報共有・権限委譲・対話を重ねる「変わろうとするワンマン」なのではないでしょうか。

現代に求められる「変わろうとするワンマン社長」とは、性格を変える人ではなく、行動としくみを変える人です。
重要なのは、決断力を手放すことではなく、決断に至る過程を開くこと。
数字や背景、選択肢を事前に共有するだけで、社員の納得感は大きく変わります。

また、権限委譲は作業ではなく「判断」から渡すことです。小さな判断であっても「任せる」「任される」経験が、人と組織を育てます。
報告を受け、承認する。
対話も単なる相談ではなく、「あなたならどうするか」「その判断のリスクは何か」と問いを投げる姿勢が欠かせません。

最終責任は社長が負う。
しかし、すべてを自分で決めない勇気を持つ。
このバランスこそが、令和型ワンマン経営の核心ではないでしょうか。